フライパンから放出されるマイクロ、ナノサイズのテフロン樹脂

マイクロプラスチック問題
こびり付かないフライパンから、マイクロ、ナノプラスチックのPFASが放出さされるのか?

こびり付き防止のテフロン加工のフライパン。フライパンの表面には有機フッ素化合物の一種でテフロン樹脂(PTFE)が張り付けてあります。そのおかげで食品がフライパンにこびり付かないわけですが、調理中にフライパンの表面のテフロン樹脂に傷がつき、その破片が食品に混ざる可能性があります。

メーカーなどはこれまで、「剥がれた樹脂が口に入っても吸収されずそのまま排出される」と説明してきましたが、新しい研究では、目に見えないサイズの微小なテフロン樹脂が、数百万個も放出されている可能性が示唆されました。オーストラリアのニューカッスル大学のCheng Fang博士たちのグループの研究で、模擬的な調理として、ステンレス製と木製のフライ返しでフライパンの表面を15秒ほどこすって、フライパンの表面を観察しました

フライパン表面の走査型電子顕微鏡(SEM)での画像がこれらです。画像a)は、裂け目ができたテフロン樹脂で、左右がテフロン樹脂で、裂けた部分からはマイクロメートルサイズ以下の破片が発生しています。b,c)は裂け目の部分をアップにしたもので、テフロン樹脂が繊維の束のようになっています。d,e)は破断した部分の底面で鍋の本体であるアルミニウムに繊維状の樹脂がくっ付いています。
f)は別の部分で傷がついたテフロン樹脂で、g,h)が放出されたテフロン樹脂の断片、i,j)はフライ返しの表面に付着したテフロン樹脂の破片です。

破断した部分には約230万個のマイクロプラスチック(5㎜未満)とナノプラスチック(1μm未満)が含まれている可能性があるのだそうです。また傷ついた部分でも最大で9100個のマイクロプラスチックとナノプラスチックが含まれている可能性があるのだそうです。

実験では新しいフライパン4品と中古(2年程度使用)のフライパン2品を調べましたが、古いフライパンの方が破片の放出量は多いという傾向でした。
結論として、「マイクロまたはナノサイズのテフロン樹脂の破片が、日々の調理過程で放出される可能性があることが確認された。放出された粒子は直接食品に含まれる。テフロン樹脂がPFASの一つであることを考慮すると、放出されたマイクロ、ナノサイズのテフロン樹脂の毒性は緊急の研究対象とすべきである」としています。

問題はこれらのテフロン樹脂の破片を食べてしまった場合、体内に吸収されるのかという点ですが、以前別の記事でも紹介したように、700nm~0.514㎜サイズのプラスチック片がヒトの血液中から検出されています。ということはこれらのテフロン樹脂の破片も体内に吸収される可能性が高いということになります。

ただこれらの破片はプラスチックつまり高分子の樹脂の破片なので、低分子の状態のPFASとは性質が違いますが、ナノサイズのテフロン樹脂そのものの有害影響、また樹脂から低分子上のPFASが溶け出したりしないのか、などの調査が必要です。

とりあえず、フライパンはテフロン加工ではなく、鉄、ステンレス製か、セラミックコーティングの物を使っておいた方が無難でしょう。

出典)Yunlong Luo, Christopher T. Gibson, Clarence Chuah, Youhong Tang, Ravi Naidu, Cheng Fang,Raman imaging for the identification of Teflon microplastics and nanoplastics released from non-stick cookware,Science of The Total Environment,Volume 851, Part 2,2022,

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