デンタルフロス使用でPFAS血中濃度上昇 より安全なデンタルフロスの選び方

有機フッ素化合物(PFAS)
市販のデンタルフロス商品売り場

アメリカで歯を掃除するデンタルフロスからPFASが検出されたというニュースが流れています。デンタルフロスとPFASについては、3年前に記事を書いていたので、週刊金曜日2019年03月22日号の記事を基に再構成したものをアップします。

一部デンタルフロスの使用で血中濃度が25%アップ

 米国で2019年1月、一部のデンタルフロスを使っていると、体内にPFAS(有機フッ素化合物)が蓄積するというショッキングなニュースが報道され話題になっています。日本でも医師向けニュースサイトメディカルトリビューンに1月29日に記事が掲載され話題になっています。

 記事の元になった論文は今年1月8日に発表されたもの。178人の女性を対象に、11種類のPFASの血中濃度を計り、また様々な消費行動についてのアンケートも実施し、特定の行動と有機フッ素化合物のばく露に関連が無いか調べたものです。

 防汚処理をした家具やカーペットの使用や、フライドポテトなどの包装用紙などの利用でも一部の有機フッ素合物が増えていました。

 今回の研究で新しく分かったばく露源が、歯と歯の間の歯垢を掃除するために使われるデンタルフロスです。PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)というテフロン系の樹脂を使っている女性たちでは、不使用の女性と比べてPFASの一種であるPFHxS〈パーフルオロヘキサンスルホン酸 通称ピーエフへクスエス)の血中濃度が25%高かったのです。アメリカの報道では、P&Gの「Oral B Glide floss」という商品が名指して報道されています。

 研究を行ったサイレントスプリング研究所のキャサリン・ボロノウ博士は「今回、PTFEをつかったデンタルフロスの使用により有機フッ素化合物の体内蓄積リスクが高まることが初めて示唆された。われわれの調査結果に基づき、消費者はPFASを含まないデンタルフロスを選ぶ必要がある」と勧めています。

発達障害のリスクを上げるPFHxS

有機フッ素化合物による毒性影響は、実験動物を用いた投与実験で発ガン性や、発達障害等が報告されています。特にPFHxSについては、血中濃度が高い子どものほど、発達障害の一つであるADHD(注意欠陥多動性障害)のリスクが高くなることが指摘されています。

アメリカのウエストバージニア州のデュポン社の有機フッ素化合物の製造工場の周辺で飲料水の汚染が見つかった地域での疫学調査で、5歳から18歳の子どもたち1045人を調べました。

血液中のPFHxSの濃度を計り、濃度ごとに4つのグループに分け、ADHDに診断された子供の数を比較しました。血液中の濃度が一番低かったグループと比較して、2番目のグループで1.27倍、3番目のグル―プでは1.43倍、一番濃度が高かったグループで1.53倍と、血液中のPFHxSの濃度が高くなるにつれて、発症リスクが上がっていたのです。

有害なデンタルフロスの見分け方

 日本ではP&Gの当該商品は販売されていません。そこで国内でPTFEというテフロン系樹脂を使ったデンタルフロスが販売されていないか、調べてみることにしました。

 都内のスーパーやドラッグストアを回ったところ、種類は少ないものの販売されていることが分かりました。

 多くのデンタルフロスの糸の素材は、ナイロンやポリエステルが使用されています。それらPFASではありません。しかしエビス株式会社の「超薄スムーズフロス」という商品は「フロスの材質PTFE」とあり、テフロン系樹脂を使っています。「フロス部分に薄くて切れにくいPTFE素材を採用。超薄テープだから歯間が狭くてもスムーズに入ります。フロスを使ったことのない初心者の方におススメです」とテフロン樹脂の特徴は滑りやすさをアピールしています。

 店頭では見つけられなかった、インターネット通販では、エイコ―株式会社の「オーラルドクターデンタルフロス」とか、株式会社 デントケアなど、テフロン系フロスを使っているものが見つかりました。

 いずれもテフロン系だから滑りやすいとアピールしているので、簡単に判別できます。購入時にちょっと気を付けてみてください。

コメント